精巣上体炎と精巣捻転
精巣付近の痛みを感じ際には、精巣上体炎と精巣捻転、主にこの2つの鑑別が必要です(ガイドライン上は付属小体捻転症もありますが、まずは2つに絞って鑑別していきます)。
精巣上体炎とは精巣上体に感染症を起こした状態のことを言います。
若い男性であればクラミジア性、高齢男性では結核性の精巣上体炎を鑑別します(以前は結核性も多く見られたそうですが、現代では膀胱癌の治療としてBCGを膀胱内に注入する治療が原因でみられることが稀にあります)。
38~40℃程度の発熱が見られ、時に精巣上体が精巣以上に大きく腫大している事もあり、抗生剤での治療が必要です。
また精巣捻転とは、精巣が回ってねじれる事で、精巣を栄養している血管が絞めつけられて精巣に血流が行かなくなってしまう病気です。
新生児期と思春期に多く、二峰性の年齢分布を示しており、思春期に60~70%が発症しています。
ピークは13~14歳にあり、20代以降でも時に見られますが稀です。
激しい疼痛を伴うことが多いですが、何度か捻じれては元に戻ることを繰り返している場合には疼痛が軽減されていることもあります。
外観上は精巣が捻じれて、反対の精巣よりも高い位置にあります。
また大きな病院では造影MRIなどで血流の確認を行いますが、クリニックであれば超音波で血流を確認します。
精巣捻転であれば非常に緊急性が高く、まずは用手的整復を試みた後、血流が回復してもしなくても、いずれにしても固定術が必要です。
両者ともに疼痛を伴うため、鑑別が難しい場合も多いです。
しかし精巣捻転であれば一刻を争う疾患ですので、精巣の痛みを感じたら早急に泌尿器科を受診して、診断を受けることが必要です。